T-PIRCについて

T-PIRC

T-PIRCの役割と目的

 地球上で生命が維持されるには、太陽から降り注ぐ光エネルギーに加え、生命を支える水、酸素、栄養の3要素が持続的に循環する仕組みが必要です。この3要素のうち、酸素と栄養を生み出しているのは光合成です。地球上の光合成のほとんどを担う植物は、水と酸素を素材に光エネルギーを使って各種の有機物を生産します。そして動物は作り出された有機物を栄養に生命を維持しています。加えて、石炭、石油といった化石燃料もこのメカニズムで生み出されたものです。すなわち、天然資源と生物多様性の根幹において、地球上のすべての生命体の生存の鍵を握るのは植物です。
 植物による生産が伸びないまま、化石燃料が消費されれば、地球の酸素濃度が下がり、同時に生み出された二酸化炭素は地球温暖化を招きます。このように植物に依存せざるを得ない地球上の物質循環に歪みが生じれば、地球規模の問題が顕在化します。人口が集中する都市を中心としたフードロスによる環境負荷の増大、急速な人口増加による食料不足問題と関連した紛争、また食事摂取形態の変化による生活習慣病の増加など、人と食料に関する地球規模課題も顕在化してきています。
 植物の量と質を向上させる持続的な開発研究は未来社会の在り方を変えるとの確信のもと、筑波大学では平成29年に「つくば機能植物イノベーション研究センター」(略称T-PIRC)を設置し、地球規模課題解決に貢献する人材養成と研究を推進しています。センターでは、生命科学はもとより最先端デジタルサイエンスの協力を得て、品種開発から物流改革を経て社会のwell-being改善までを視野に、植物ひいては植物が生産する食料に関する課題の解決に挑戦しています。
 本研究センターは、植物における遺伝子機能解析を精力的に行っている遺伝子実験センターおよびフィールドを活かした農業研究を推進している次世代農業研究部門を中心として、海外研究ユニット、民間企業招致による特別共同研究事業、国立研究開発法人研究所等との研究ユニットを設置することで、植物バイオテクノロジーと生物資源を基調とした基礎・基盤研究から応用・開発、社会実装までをOne-Stop Shopで行う研究拠点を構築し、食料や資源の安定的確保といった持続可能な社会の実現に貢献するものであります。
 本研究センターが基礎・基盤研究から応用・開発、社会実装の加速化を見据えた研究拠点として益々発展し、わが国および世界の植物科学にとって重要な研究拠点となれるよう、関係者一同も一層努力いたしますので、皆様方のこれまで以上の御援助・御鞭撻を賜りたく、お願い申し上げます。

T-PIRCについて|筑波大学つくば機能植物イノベーション研究センター(T-PIRC)
つくば機能植物イノベーション
研究センター長
江面 浩