【プレスリリース】レタスにおいて遺伝子組換えタンパク質の発現量を向上させる方法を確立

T-PIRC 三浦 謙治 教授、A.Ramadan 助教の研究グループは、医薬品などには遺伝子組換えタンパク質がしばしば用いられ、その生産手段の一つに、植物を宿主とした一過的タンパク質発現系の利用があります。本研究では、宿主としてレタスを用いる際、RNA依存性RNAポリメラーゼの発現を抑制することで、遺伝子組換えタンパク質発現量の上昇に成功しました。

医薬品などに用いられる有用な遺伝子組換えタンパク質を生産する手段の一つに、植物を宿主として特定の遺伝子を組み込んだ細菌を感染させ、その遺伝子を持つタンパク質を植物内に蓄積させる方法があります。本研究グループはこれまでに、植物において大量のタンパク質を生産することができる独自のシステム(以下、「つくばシステム」という)を開発しています。これにより、大腸菌などの異種タンパク質発現系に匹敵する量のタンパク質の発現が可能です。

そこで、本研究では、宿主としてレタスを用い、遺伝子組換えタンパク質の発現量を上げることを試みました。植物において外来遺伝子の発現を抑制する際、RNA干渉とよばれる機構がはたらきますが、その中心的な役割を果たす因子としてRDR(RNA依存性RNAポリメラーゼ)があります。このRDR遺伝子の発現を抑制すると、従来の2倍以上の遺伝子組換えタンパク質の発現量の上昇が認められました。この収量は、レタスにおいてこれまでに報告されている発現量としてはトップであり、本手法の有効性を示しています。
通常、タンパク質を生産する際の宿主にはベンサミアナタバコが使用されますが、レタスは植物工場での主要な生産植物であり、これを宿主に用いることで、遺伝子組換えタンパク質の大量生産につながると期待されます。

研究代表者 
筑波大学生命環境系
三浦 謙治 教授

【題 名】Silencing of RDR1 and RDR6 genes by a single RNAi enhances lettuce’s capacity to express recombinant proteins in transient assays.
(RDR1とRDR6遺伝子のRNAiによる発現抑制によりレタスにおける一過的組換えタンパク質発現量の向上)
【著者名】A. Ramadan, K. Oka, K. Miura
【掲載誌】Plant Cell Reports
【掲載日】2024年9月24日
【DOI】 10.1007/s00299-024-03324-6

詳細はプレスリリースをご覧ください。

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